身勝手やけどそう思うんよ。
独りやったらやっぱり辛くて、
こんな俺の事、見捨てんと
ずっと側に居てくれるん感謝してる。
でも、何で居ててくれんのやろ?
気持ち悪いとか思わへんのかな?
俺やったら、あんなんカミアウトされても
普通に引くと思うねん。
図太いンか、おおらかなんか。
でもな、全部丸ごと一緒に抱えてくれたん
ホンマに嬉しかった。
お前が居なかったら、今だに気持ち抱えたままやったと思う。
せやから『お前は俺の一番大切な友達や』って、恥ずかしいけど
言うてみた。
そしたら、一瞬だけ悲しそうに目を伏せてたな。
俺、お前に無理させてたんかな?
ホンマは俺なんかと一緒におんの嫌やったんかな?
でも俺、お前まで失いたないねん。
どないしたらずっと側におってくれるんやろ?
なぁ、俺、お前を喜ばせる方法とか全然知らへん。
でも手放したくないんよ。
我が儘ばっかりで……ごめんな。
昨夜、一緒に寝たのかどうかすら覚えていない恋人は、起きた時点ですでに見当たらなかった。
ベッド脇の小さなテーブルに、水の入ったコップと薬が用意している辺りが瑠惟らしい。
ていうかなんで瑠惟は平気なんだ?
昨日は、今日が定休日だからと酒を用意した。前々から瑠惟が酔ったらどうなるのか興味が有ったんだ。
もちろん今までにも何度か一緒に飲んだことはあるが、1杯か2杯だけだったので、酔い潰れるという事がなかった。だから潰れるまで飲ませてみたかった。
誰でも一度くらいは考えるよな?
それに俺は決して弱いほうじゃない。瑠惟より先に潰れたりしない自信があった。
だが、いざ飲みだすと、大体同じペースで飲んでいるにも関わらず、一向に変化が見られない。もちろんソレは『瑠惟が』であって、俺の方はかなりやばい状態だったと思う。
ほとんど記憶が飛んでいて定かではないが、果たして瑠惟は酔ってたんだろうか?
気付いたらベッドの上だったというこの状況では、詳細不明だ。
ただ、酒を飲んでいたのはリビングだったはずなのに、どうやってここに辿り着いたのかは……ちょっと考えたくない。
つか…あれだ……気持ち悪…。
今日は、瑠惟の用意してくれた薬を飲んで、寝る事にしよう。
あぁ…でも、多分買い物に行っているのであろう瑠惟が帰ってきたら、ちょっと怒られそうだ…。
やめた。
目の前にはココ3日くらい口をきいていない恋人の背中。
こんな状態だから寝る時は別々になりそうだけど
なんでか一緒のベッドだ。
少し手を伸ばせば届きそうな距離で
身体を小さく折り畳んでいる。
俺が……悪かったのかなぁ?
なんかもう喧嘩の原因すら曖昧だ。
なんでこんなに怒ってんだろ?
「なぁ、もう機嫌直せよ」
会話の無い毎日も、背中ばかり見つめる日々もそろそろ飽きた。
そっと腹を抱いて引き寄せると
膨れっ面が振り返る。
「ぶっ」
思わず笑うと、キツく睨まれた。
「何で笑うんだよ!! 大体言う台詞が間違ってんだよ!」
「うん、悪かった。ごめんって」
そう告げた途端口を閉ざして俺を見つめる。
「ホントにそう思ってるか?」
「思ってるよ」
チョンと唇に触れれば「はぁ」と息を吐いて、俺の身体を抱き締め返した。
「しょーがねぇから許してやるよ」
「そりゃどうも」
俺の言葉にニッと笑って、久しぶりに生意気そうな視線を寄越す。
どうやら許して貰えたらしい。
ところで、
…………喧嘩の原因忘れたったら怒るよな。
ん、黙っとこ……。
杏は少しだけ…ほんの少しだけ、目元が先輩に似てた。
だから気になった。
そして恐くなった。
俺のピアノを好きだと言ってくれた杏。
俺の指を好きだと言った先輩。
重なる。
言葉は違うのに、与えてくれた優しさは同じで、過去とリンクする。
これ以上踏み込んで欲しくなかった。
好きになる。
…好きに…なってしまう。
いや……もう、遅い。
初めて目があったあの時には、すでに捉われていた。
いっそ拒絶してくれれば良い。
もう辛い恋はしたくない。もうあんな思いはたくさんだ。
でも、そんな感情とは裏腹に好きになってくれないかと望んでる自分も居た。
俺の手を取ってくれた人。
取って、繋いで、握り返してくれた。
なぁ、俺…もう一度人を好きになっても良いのかな?
そして、たぶん一生捨てられない。
この中には隆一の最後のメッセージが入っているから……。
……何で言わなかった?
始めは恨み言ばかり……隆一を責める言葉ばかりが浮かんでた。
毎日屋上に行っては、煙草の匂いを探した。
でも、見つからなくて。
恐くて……。
隆一がいないって現実ばかり突きつけられて……
段々そこに行けなくなった。
隆一、どんな思いで生きていた?
自分の命の限りを知るのはどんな気分なんだろう?
死ぬって何だろう?
考えたって分からない。結局俺は生きてるのだから。
あの時死ねなかった傷痕は、今でも俺の手首に残ってる。
……誓ったから。
お前の分まで生きるって約束したから。
この傷は戒め。弱かった自分への誓い。
約束は忘れない。
お前の分まで生きていく。
りゅう……それでもやっぱり淋しいよ。淋しくて死にそうだ。
たった半年の俺たちの関係。気持ちひとつ伝えなかった関係。
後悔ばかりが募るんだ。
もっとちゃんと伝えれば良かったって。一回でも好きだと伝えたかった。
お前……今、何処にいる?
俺はいつになったらお前に会いに行ける?
もう抱き締めてくれる腕はないから……記憶の中のお前を思い出す。
お前が触れてくれたように自分に触れる。
お前の生きた証が、この携帯にしか残ってないから……命が尽きるその日まで俺はコレを絶対に手放さない。
もう直接伝える事は叶わないけど
「好きだよ」
一緒に生きよう……。
初めて愛する意味を知った。
初めて絶対に失いたく無いと思った。
生きている意味を貴方に教えられた。
生きていく術を貴方に見い出した。
何よりも誰よりも大切な人。
貴方が居ない世界なら俺は要らない。
それで…どれほど貴方に負担をかけているだろう?
でも……それでも……
貴方以外を基準に考える事など、もう…出来ない。
今でも初めて会った日の事ははっきりと覚えている。
いつも思うんだ。
あの時、貴方に出会わなければ…俺はどうなっていたのだろう?
貴方が支えだった。
あのままの状態ではいつか正気を失いそうだった。
正直友人という立場になる前に告白されてたら…
今の関係でいられたかわからない…。
俺には辛い思い出しかなかったから…。
でも貴方は本気で愛してくれたから…
とても大切にしてくれたから…
そして俺も失いたくないと思ったから…
気持ちに気づいたんだ…。
初めて知った…人を愛するという事を…
いやいやいや、この年齢ではまだ縮みたくないから。
「にぃが縮んでくれないと、オレ追い越せないじゃん」
幼い子供の様に口を尖らせて話す彼の頭を数回撫でた。
「お前はむしろこれから成長期だろ? 今にきっとオレなんか簡単に抜かすよ」
「まぁ一応抜かすつもりでいるけどさ」
いけしゃあしゃあと述べる彼に「生意気だなぁ」と告げると彼は「今さらっ」と笑う。
「でも本当、にぃ伸び過ぎだよ」
そう評されたオレの身長は彼が言うほど高くは無い。
179cm。低いとは思わないが、かなり高いという事もないと思う。
そして、評した彼は166cm。
だが向こうはこれから成長期を迎える。
「何でそんなに身長に拘るんだ?」
いつ頃からか、彼は異様にオレの身長を気にし始めた。
「そりゃもちろん、にぃに……」
そこまで言って、口を閉ざす。
「何?」
じっとオレを見つめてから溜め息をひとつ。
――なんだよ、一体。
「やっぱ追い越してから。じゃないと、オレ、立場無い」
そこまで言われたらもう、それ以上は突っ込めなかった。
でも何なんだろう……。
気になる事は、やはり彼の身長がオレを越えてからになるのだろうか?
果たしてそれは何年後の話なんだか。
ちゃんとしたストーリーと通常日記はありません。
カテゴリー説明
詞 ⇒ 書きなぐり。時々私的メモ。
彼之詞 ⇒ サイトのキャラの詞綴
君之詞 ⇒ 学生二人が交互に心情を綴ってます。
掛詞 ⇒ 1種を両視点から。
他 ⇒ お知らせ、その他。